2024年9月24日(火) 18:30-21:00
場所:なは市民協働プラザ
参加者:受講生28名、チアーズ8名
第4回講座を実施しました!
プログラム
1. オリエンテーション・講師紹介
2. 講義「不完全プランニングとプラスクリエイティブ」
3. 振り返り#1「印象に残ったこと・新しいアイディア」
4. 感想共有・質疑応答#1
5. 振り返り#2「活かせそうなこと・活かしたいこと」
6. 感想共有・質疑応答#2
7. まとめ
8. 事務連絡
1. オリエンテーション・講師紹介
今回講師を担当いただくのは、デザイン・クリエイティブセンター神戸センター長であり、
NPO法人プラス・アーツの理事長でもある永田宏和さん!
事務局の宮城との出会いは2005年。
沖縄でも徐々に広がりつつある、楽しみながら行える防災プログラム「リッカ!ヤールー
キャラバン!」の元となる「イザ!カエルキャラバン!」をきっかけに交流が始まりました。
他にもワクワクする企画をたくさん作り上げられてきた永田さんの講座、ぜひ楽しみながら
お聴きください!
2. 講義「不完全プランニングとプラスクリエイティブ」
さっそく永田さんの講座へ。
今日は、企画のノウハウを伝授していきます。
今回の講座で一番伝えたいのは、”俯瞰”の大切さ。
俯瞰にも、2種類あるといいます。
一つは、環境的俯瞰。
もう一つは、時間的俯瞰。
<環境的俯瞰>
企画を作る際に、ターゲットに寄りすぎると、周りのさまざまな関係者(ステークホルダー)
に気付けなくなってしまいます。
すると、本来連携できるはずの人たちが見えず、周りを巻き込みづらい企画になってしまい
ます。
<時間的俯瞰>
「いい活動には、前も後ろもある」といいます。
どういうことでしょうか?
一般的にプログラムを作る際は、活動そのものがゴールになってしまいます。
大切なのは、プログラムを時間軸の真ん中(プロセス)に置くこと。
真ん中に置くことで、プログラムの後ろ側が意識され、「プログラムを実施した後、その後
何がどのように豊かになるのか」が考えられるようになります。
そこで具体的に考えるのが、「事業のモデル化」と「人材の育成」。
後ほど登場する「イザ!カエルキャラバン!」と「パンじぃ」の取り組みの中にその要素を
みることができます。
続いてお話しいただいたのは、永田さんのフィロソフィー(活動理念)です。
永田さんたちは、「地域の人たちがお互い仲良く、生き生き暮らす元気なまちである状態」に
することを、活動の中で「地域活性化」と言わず「地域豊穣化」と呼びます。
その鍵となる概念が、「風の人」「水の人」「土の人」で、それぞれの「人」には、それぞれの
「作法」があるといいます。
そして地域で行われる行事やイベントが「種」。
今回みなさんが「種」を作って地域に持っていく「風の人」なのであれば、重要なのが、その
地域において誰が「土」で、誰が「水」なのかをしっかり認識すること。
「水」の事情(資金や人材など)を知らずして、その地域で実るような種を作ることはできま
せん。
そして、「土」が誰なのかを明確にすることも重要です。
ここから、いい種に必要不可欠な2つの条件についてお話しいただきます。
<①不完全プランニング>
地域の人たちが積極的に参加してくれるプログラムになるかどうかは、「関わり代」があるか
どうか。
完璧に閉じてしまっていると、周りにいるステークホルダーが関わることができず、新しい人が
参加してくれたり、広がりある活動にならない。
設計の時に、そこまで考えておくことが大切。
<②プラスクリエイティブ>
関わり代を作ったとして、実際にそこに人に関わってもらうようにするためには、その活動
自体が「魅力的」である必要があります。
そのために必要なのが「クリエイティブ思考」。
既成概念にとらわれない、新しいアイディアや発想を生み出せるかどうか。
そしてその近道が、グループで行うこと。
グループの中で「この人たちならばかなことを言っても受け止めてくれる、楽しんでくれる」と
いう安心感が必要。
「クリエイティブ」という言葉には、新しいことを生み出すという意味と同時に、「既存のもの
をぶち壊す」という意味も存在します。
永田さんのこれまでの経験から導き出した「風の人の心得」を、配布資料でご紹介して
います!
続いて、永田さんがセンター長を務める「デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)」
のご紹介。
KIITOのスローガンは「みんながクリエイティブになる。そんな時代の中心になる。」。
そしてフィロソフィーは「地域豊穣化」。
まちづくり、教育、観光、防災、環境、高齢者問題、都市施設、福祉、、、
さまざまなテーマに「+クリエイティブ」で作り上げてきたさまざまな取り組みをご紹介
いただきました。
とにかくお話を聞いていて、目から鱗、そしてワクワクする企画の数々。
しかしそれらも、「アイディアが良ければいい企画になる」というわけではなく、その裏には
綿密に設計された「持続的かつ広がりを持つ種」があったのです。
講義の最後、カエルキャラバンの事例をもとに、永田さんから一言。
「他の地域におもしろい取り組みがあるからといって、『やりたい』だけの待ちの姿勢では何も
変わりません。事例を学んで、そして自分の地域を学んで、使いこなして、働きかけていくこと
が大切です」
3. 振り返り「印象に残ったこと・新しいアイディア」&感想共有・質疑応答#1
その後、改めてグループ内で上記のテーマで話し合い。
質問・コメント①
これまで永田さんが見てきたものの中で、真逆なもの同士の組み合わせでおもしろい!と
思ったものは?
回答
防災を例に話すと。
防災って、そもそもみなさんにとって「遠い」もの。
そこに参加してもらうには、もっとみなさんに「近い」もの、興味があるもの、引きの強い
ものと組み合わせる必要がある。
ただ注意しないといけないのは、「楽しい」や「面白い」に引っ張られて、本来の目的がうすれ
ないようにすること。(例えば「防災」×「キャンプ」であれば、キャンプに寄りすぎて防災の
要素が薄れてしまうような状態)
質問・コメント②
実際に永田さんがされてきた活動に関わっている人たちは、最初どのように関わり始めた
のか?
回答
夢を語りまくった。
アイディアの元となるものを勉強し、それをもとにちゃんと企画書を作り、夢を描き語り
続けた。
その結果、賛同して協力してくれる人が80人くらい集まっていた。
ボランタリーに参加してくれる人も多い。
そこにあぐらをかいてはいけないとは思うが、そうやって始まる活動もあると思う。
質問・コメント③
パンじぃの取り組みについて、神戸はパンの街というのがあったかもしれないが、それが
ニーズとしてヒットした理由、生まれたきっかけ、高齢者を巻き込めるような取り組みに
ついて聞きたい。
回答
実は、パンじぃが生まれるまでに、ものすごいリサーチプロジェクトをしていた。
パンじぃの場合は、有り余る高齢者男性のエネルギーや時間をどう使ってもらうか、という
ことを考えた。
大事なのは、何かの技術を学んだ後に、それをもとに地域で活躍できること。
パンならその広がりがある、というのも決め手だった。
質問・コメント④
リサーチに時間をかけたと言っていたが、どのように行なっていったか?
回答
私たちのやり方は、「風」「水」「土」という整理の中でリサーチを行った。
そしてテーマが決まると、「種」のリサーチができるようになる。
他の地域のことを調べることも重要だが、その地域において芽が出るような「種」をつくる
ためのリサーチが重要。
そのために、テーマに引っ張られすぎないことも重要。
防災のテーマに設定していたとしても、リサーチをするのは防災だけでなく、例えば「親子が
興味を持ってたくさん来るイベントにはどんなものがあるか?」という視点でリサーチして
みるとか。
最後、永田さんからのコメントです。
ぜひ、楽しくやってください。
今日一つだけ伝えていないとすれば、「シナジー(相乗効果)」について。
各グループの中でもでシナジーを生み出すべきだと思います。
メンバーの1+1+1...を、20にも30にもしていく必要があります。
そのために必要なのが、チーム内の信頼関係と協力関係。
誰かが遠慮していたりとか、自分のアイディアを押し付けていては、シナジーは生まれません。
8. 事務連絡