2019年9月19日木曜日

第5回 公開講座 : 後編(質疑応答)

(第5回公開講座レポート 後編)
→ 前編はこちら。

お話を聞いた後は、自分の中に学びを落とし込む時間です。

■ふりかえり1

まずは「印象に残ったこと、自分にとって新しかったアイディアは何ですか?」というテーマで、3人ひと組となって感想を共有しました。
その後、一旦感想共有と質疑応答です。いくつかの質問と答えを共有します。




■感想共有・質疑応答その1

Q. 土、水、風、兼ねる人もいるのではないか

▶︎そう思う。しかも、加えて水と風を兼ねてる人もいる。そういう人は霧の人と呼んでいる。それ以外にも光の人というのもあって、これはメディアや発信することで光を当てることができる人。沢山の役割の人がいることで、地域はなりたつ。

Q. 風の人が足りないので、食うに困らないといっていたが、どういうことか

▶︎風の人の需要はある。そういう人材を様々な業界が求めている。実は、1日限りのイベントなどプログラムは作れるけれど、その後のインパクトまで考慮し、長期的な取り組みとなるプロジェクトを作れない人が多い。プロジェクトを作れる人材を作れるようになれば、雇用してくれる先もあるので、食うに困らないと思っている。言い換えると、風の人とはプロジェクトを作れる人かもしれない。

▶︎雇用先として、現在KIITOスタッフでは限界があるが、それとは別でスクール、インターンを迎えて研修を行い、人材育成をして風の人を育てる努力をしている。風の人になるために外せない条件は、現場やプロジェクトを経験していること。その経験を提供できるように機会を与えている。



Q. プロジェクトを作るために、どのような研修をしているのか

▶︎ゼロから課題立て、ワークショップ、アクションプランを事業化させるプロセスをフォローアップしている。風の人の立場として今一番近いのが地域おこし協力隊だと思うが、必要な現場の経験や、立場に関する理解が足りていない場合がおおい。経験者に会うことがあるが、水、土、風の話や研修を、派遣前に行って欲しかったと言われることが多々ある。

Q.自分は水の人を目指しているのだが、運んでくるタネを選定することも仕事の1つだと思っている。それについてどう考えているか。

▶︎タネの目利きも大事だが、風の目利きも大事。風の人風(ぐゎーしー)の人もいるので、騙されないようにすることも確かに大切。水の人の最大のスキルは水のやり方。支援をするということ。水をやりすぎてる場合も多々あるけれど、水をやりすぎると根腐れする。つまり、土の人の主体性を奪ってしまう。なので、最初はしっかり支援するが、水の量を減らしたりと、調整することが大事。上手くお願いしたり、役割を与えるのが上手い人が良い。

Q. 土がボロボロとなっている状態について話を聞くのはショックだが、大事な視点だと思った。自分の地域を振り返ると、土が無くなってきているようにも感じる。今後いかに地域の人、土の人を巻き込むのが大事じゃないかと思った。

▶︎何もしないとやはりタネは育たない。タネから何かが育つ事で、ほかの土も豊かになっていくプロセスがたしかに存在している。パン爺も良い例。スーパーで小麦粉見ると買ってしまうなど。笑
パン爺から、オシャレに目覚めたり、木工し出したりと、前向きになる。ポジティブになる。ダイレクトに解決なんてない。プロセスの中で色んな事が解決されていることもある。小さい視野ではなくて、大きな視野でみること。



Q. 情熱と愛情と場数が大事だと言っていたが?

▶︎実は情熱と愛情の2つでいい。場数については、数回だと諦めちゃう人が多いので、だからこそ細くでも長く続けていくことが大事。そんな場をどう作るかも大事。難しいけど、試すことも大事なので、地域で失敗を許してくれないことも多い。風の人を育てようと思うと愛情や許容さが大切。宮城さんやこの場や若狭公民館が存在している事、それが許容さを示していると思う。
補足だが、そういう環境や場を作れるのは行政だったりする。みんなの中には行政も入っている。
あとは、モニタリングもかなり大切。失敗も成功も含めて効果を検証すること。失敗を語り合うワークショップも流行っている。


■ふりかえり2は、お話をきいて「活かせそうなこと、どう活かしていきたいか」
「これから活かしていきたいこと、活かしたい場面はどこか」をテーマに話あいました。


■感想共有・質疑応答その2

Q. 自治会役員として4,5年活動している中で、まだ1人で全てをこなしている感がある。うまく人に頼れる方法はあるのか。

▶︎宮城潤さんに聞いた方がよい。笑
というのも、弱い方が助けられやすい。思いや芯が強いのは大事だが、ちょっと頼りないとか弱そうなの大事。強そうだったり、しっかりし過ぎてると周りは大丈夫だと思っちゃう。助けてほしいと言うのは恥ずかしいと言う声もあるが、1回くらい言ってみてほしい。1回も言ったこと無い人が、実は多い。

Q. 今大学院では、課題設定の段階。課題設定の上で大切な事は何か?

▶︎普段から物事をどうみているか。そして、今課題だと思っていることを本当かどうか疑ってみることが大事。本質を突き詰めるためにリサーチを繰り返す事も大事。課題設定を間違うと、どんだけ良いリサーチしても、どんなに良い企画をしても意味がなくなってしまう。

Q. 生協に勤めているが、地域と企業文化、市民組織とのコラボレーション、シナジーはどう生み出せるだろうか。自発的に参加する人が増えないという悩みがある。

▶︎他府県では生協が主催してカエルキャラバンをしている場合もある。地域との接点づくりが大事。垣根を越えるタイミングがいつかは必要である。テーマの設定も大事で、防災や子どもの貧困など、より多くの人に関係があり、お互いが混ざれるような取り組み方が大事。そういうプログラム作りを心がけてみると良いかも。


Q. プログラムではなくプロジェクトということについて詳しく教えてほしい。

▶︎プログラムはその日1日かぎりのこと。プロジェクトには前後がある長期的なプロセスである。その一部がイベントであっても良いが、イベントがゴールじゃない。プログラムではなく、プロジェクトとはそういう長期的な目線が大事という事。

Q. ちびっこうべのペルソナ(想定対象者)はどう考えていたのか。今、自身はこども食堂をしているのだが、おじいちゃんやおばあちゃんも参加参加してもらっているが、お客さんになってしまっているということに気づいた。もっと主体として巻き込みたい。どうやったら地域が混ざるのか。

▶︎ちびっこうべの事例で話すと、こどもたちに学校では学べない創造教育を!というテーマで取り組んでいる。しかし、関わってる人みんなにプラスがある。良い事業というのはターゲットのためかもしれないが、実は全ての関わる人のプラスになること。
みんなを巻き込むには、よりクリエイティブの要素を強く打ち出すことが大切かもしれない。そうすると、大変な事もあるけど、巻き込み始めると誰もやらされてる感がない。こども食堂でもそうで、もっと主役になってもらえる仕組みを考えたりするのは良い。食は強い。良いステージを用意して、みんなに踊ってもらおうという気持ちで取り組んでみて。



Q. 学校宛へチラシを配って企画への参加を呼びかけることもあるのだが、学校への負担があったりする。どうこどもたちにアプローチ、集客しているのか。また、引きこもりについて取り組みや事例あるか。

▶︎実は、神戸の方が人集めが大変。先生達の雑用減らすなどの背景があり、市長の意向で小学校チラシ配布禁止となっている。ちびっこうべも全校に配っていたができなくなった。今は近隣へ丁寧にアプローチしている。折り込みもやった事あるが効果は薄かった。電話もNGになり、どうやって届けたら良いのか悩んでいる。SNS便利だが、情報がすぐに流れていってしまう。告知や集客は主催者が頑張るべきポイント。
障害のある人を対象としたイベントなどについては、専門性が無い分まだアプローチできてない。過去の経験としては、ネイチャーキャンプ、森の中でアーティストと一緒にキャンプする企画では、発達障害を持つ子どもたちも自然に参加できていて良かった。


3時間の長丁場でしたが、それを感じさせないくらい面白くわかりやすいお話、そして、これから何ができるだろう!とワクワクする内容でした。
受講生のみなさんも、一般参加の皆さんにとっても満足度の高い講座内容となったようです。

さて、次回の講座はいよいよ合宿!課題を見極めて、企画を立てていきますよ!
永田さんからのアドバイスを実践していけるよう、楽しみながら頑張りましょう!