2025年10月21日(火)18:30〜21:00
参加者:受講生28名、チアーズ
講師:安谷屋貴子氏(チアーズ)
「共感を広げるコミュニティ・オーガナイジング」
第6回の講座では、コミュニティ・オーガナイジングをテーマに、“共感を広げることから始まる地域の力”を学びました。
チームごとの中間発表を経て、次のステップとして「どうやって仲間を増やし、思いを伝えていくか」に挑戦する受講生たち。その鍵は「ストーリーを語る力」です。
チアーズでもあり、今回の講師の安谷屋さんは語ります。
「自分たちだけでは実現できない企画を、どうすれば“仲間になってほしい人”に伝え、心を動かせるのか。今日は“ストーリー”を使ってそれを考えます。」
参加者はワークシートを手に、自分たちの思いを「語る」練習に取り組みました。
コミュニティ・オーガナイジングとは?
「一人では達成できないことを、同じ思いを持つ仲間とつながり、行動を通して実現する方法」
アメリカの公民権運動などから生まれた考え方で、その中心にあるのが「ストーリー=語り合う力」です。
「スイミー」に学ぶ、つながる力
絵本『スイミー』(著:レオ・レオニ)を例に、小さな黒い魚スイミーが、他の小さな赤い魚たちと力を合わせ“大きな魚のふり”をして泳ぐ物語を紹介。
「違いを尊重し、生かしながら、大きな力を生み出す。これこそがコミュニティ・オーガナイジングの本質です。」
前年度受講生・古澤さんによる実践報告
古澤さんは、地域課題の解決方法として「6年前の町内の夏祭り」を思い出しました。当時は医療的ケアが必要な子どもを抱え、地域との交流がほとんどなかったといいます。
ある週末、太鼓の音に誘われて家族で公園へ。屋台や地域の人々との交流を通して“子どもを遊ばせながら休める時間”を得て、「わずか3時間の祭りだったけど、楽しさが忘れられなかった」と振り返ります。
その後、大学院でのまち歩きで、主催が町自治会だと知り加入。総会で「夏祭り復活」を提案し、若手不足の中でも自治会・PTAと協働で開催を実現しました。
当日はカラオケ大会や踊りの輪が生まれ、2歳から80代まで幅広い世代が参加し、地域のつながりを再確認する場となりました。
さらに、古澤さんは活動を通じて自治会・PTAメンバーと「オープンチャット」を立ち上げ、緊急時の情報共有に活用。津波警報や行方不明者対応にも役立ち、来年3月には「防災ナイトキャンプ(炊き出し・おにぎり作り)」を予定しています。
古澤さんは、「成功も失敗も含めて、地域の皆さんに見て、学んで、自分たちの地域に持ち帰ってほしい」と呼びかけました。
「ストーリー」が心を動かす理由
ストーリーは単なる説明ではなく、自分の体験や感情を通して語ることで、相手の心に“共感の火”を灯します。
コミュニティ・オーガナイジングでのストーリー(パブリック・ナラティブ)は、以下の3つで構成されます。
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ストーリー・オブ・セルフ(自分の物語):なぜ私が関わるのかを語る。
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ストーリー・オブ・アス(私たちの物語):共通の経験や希望を語り、仲間意識を育む。
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ストーリー・オブ・ナウ(今の物語):なぜ今行動するのか、緊急性と方向性を示す。
感情が人を動かす
「行動の原動力になるのは理屈ではなく“感情”」。
怒りや希望、悲しみを共有することで相手と価値観をつなぎ、行動を促します。
「自分の経験を語ることで、相手の心の“種火”に火をともす。それがストーリーの力です。」
ワーク:自分のストーリーを語ってみよう
後半ではチームに分かれ、作ったストーリーを順番に語り合い、聞いた感想や心の動きを共有。
各チーム代表が全体に向けて発表し、「共感が共感を呼ぶ」瞬間を体感しました。
「ストーリーは行動のはじまり」
コミュニティ・オーガナイジングは特別なリーダーだけでなく、「思いを言葉にし、仲間と共有すること」から始まります。
ストーリーを語ることは、行動の第一歩。あなたの思いが誰かを動かすかもしれません。
受講生たちは、自分たちの企画に新たな“息吹”を感じながら、次回に向けてアクションを考える時間となりました。
次の展開
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📘 12月2日:自主ゼミ開催
受講生が自主的に集まり、企画をブラッシュアップ。講師・事務局スタッフも交え、最終発表に向け準備します。 -
📘 第8回(最終回):修了発表会
半年間の学びと実践を地域で共有します。
共感から行動へ、そして新しい協働の輪へ。
なは市民協働大学院のストーリーは、これからも続いていきます。






