2025年9月24日水曜日

【レポート】第4回講座「企画づくり・アイデア出しのコツ」

2025年9月16日(火)18:30〜21:00

会場:なは市民協働プラザ2F なは市民活動支援センター会議室①

参加者:受講生27名、チアーズ5名


▪️講座の概要

9月16日に開催された第4回講座では、「地域課題をどう企画に落とし込むか」をテーマに学びと実践が行われました。講師はNPO法人地域サポートわかさ理事・事務局長/那覇市若狭公民館館長の宮城潤が務め、地域課題の捉え方やアイデアを生み出す工夫について、数多くの事例やヒントが紹介されました。



▪️協働マインドを大切に


講座の冒頭では「協働マインド」が強調されました。

 • 多様な人・意見・視点を楽しむ!

・時間は大事!

 • 結論を急がず、じっくり観察・熟成する

 • 記録・共有を怠らない

 • 「できる人ができる時にできることを」持ち寄る

 • 早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け


こうした姿勢が、持続可能で創造的な企画づくりの土台になるとのことでした。



▪️課題をどう捉えるか


前回までの相談会を振り返り、「課題が不明瞭」「ターゲットが曖昧」「当事者の声が不足」などの反省点が共有されました。そこで、大きな課題解決を目指すのではなく、まずは小さくてもワクワクする一歩を企画にすることが提案されました。


若狭公民館の「朝食会」事例では、

 • 当事者の声に耳を傾けること

 • 「公民館が若者を呼ぶ」から「若者にとって必要な場は何か」へ主語を置き換える発想

 • 「がんばらない」「入りやすく抜けやすい」仕組み


など、継続可能な場づくりの工夫が紹介されました。



▪️ロジックモデルと「風水土種」


企画を立案する上で、ロジックモデル(現状把握→資源投入→活動→結果→成果→波及効果)が紹介されました。評価の視点もプロセス、インパクト(波及効果)、ロジックモデル全体の見直しの3段階で考えることが重要だと学びました。


また、NPO法人プラスアーツの考え方として「風・水・土・種」の概念も共有されました。

 • 土の人:その土地に根を下ろす存在

 • 風の人:外から刺激や新しい種を運ぶ存在

 • 水の人:寄り添い支え続ける存在

・種:イベント・活動


これらがバランスよく関わることで、企画は豊かに育っていきます。



▪️事例紹介:パーラー公民館


さらに紹介されたのが、曙地区で実施された「パーラー公民館」です。そこには常設の公民館がなく、自治会加入率や生活困窮率の高さ、子どもの居場所不足といった課題がありました。


そこで、「建物」ではなく「機能」としての公民館をつくり出す試みが行われました。公園にパラソルと黒板テーブルを並べ、地域の人が気軽に集える場を設けたのです。


特徴は、スタッフが「何もしない」こと。住民が自分たちで企画を考え、主体的に場を使いこなせるようにした点が大きなポイントでした。また、「不完全な枠組み」をあえて残し、ゆんたく(おしゃべり)の中から自然に活動が生まれていく仕掛けも紹介されました。


この取り組みは、「完璧な計画より、人が関わりたくなる余白が大事」という実践的な学びを示す事例でした。



▪️アイデア発想のツール


創造的な発想法として「オズボーンのチェックリスト」が紹介されました。

転用・応用・変更・拡大・縮小・代用・置換・逆転・結合という9つの視点からアイデアを広げる方法です。


実際のグループワークでは、


多世代で一緒に美味しい給食を食べながら語り合ったり、繋がりを作るために公園でお盆にボンジョビで踊ったり、ミッションを解きながら公園やまち歩きをしたり、居場所づくりとして絵の具水鉄砲でアートづくりをしたり、迷路のような細い路地でスタンプラリーや防災訓練をしたり、朝の交通渋滞対策のための子どもの送迎を減らすウォークラリーをしたり、入れ替わりが激しいマンション不用品の受け渡しプラットフォームを作ったりなど、既存の素材や活動をベースに新しいユニークなアイデアが紹介されました。



▪️完璧より“関わりたくなる余白”


第4回講座では、単なる企画立案の技術だけでなく、協働の姿勢、当事者の声に耳を傾ける重要性、そして「不完全さ」の中に人が関わりたくなる魅力をつくることの大切さが語られました。


次回合宿に向けて、各チームはヒアリングやデータ収集を進め、地域の声を基にした企画を練り上げていきます。



▪️次回に向けて


9月27日・28日に予定されている合宿では、

 • 各チームの中間発表

 • みんみんのワークショップ

 • チーム対抗「カレー作り対決」


などが行われる予定です。今回の学びを活かし、「自分たちがワクワクして実践したくなる小さな企画」を形にしていく時間となります。

合宿で皆さんが協働することによって生み出される化学変化、楽しみですね♪




2025年8月25日月曜日

【レポート】第3回講座「オープンデータと生成AIを地域づくりに活かすコツ」



2025年8月19日(火)18:30〜21:00
会場:なは市民協働プラザ2F なは市民活動支援センター 会議室①

参加者:受講生28名、チアーズ



■ 講座の概要


全国で一番長い夏!夏の全国高校野球では、沖縄県代表の沖縄尚学が見事優勝しました。おめでとうございます!


第3回の講座が行われたのは、その準々決勝の日。ハラハラドキドキの試合経過に心ここにあらず?という瞬間もありましたが、準決勝進出の報せが届いたときには、会場から自然と拍手が湧き上がりました。


そんな熱気に包まれた日に開催された講座のテーマは、「オープンデータと生成AIを地域づくりに活かすコツ」。

講師は、南風原町議会議員であり、一般社団法人Code for Haebaru代表理事の玉城陽平さん。玉城さんは「AIは完璧な先生ではなく、70〜80点の答えをくれる“壁打ち相手”」と表現し、参加者も思わずうなずく場面がありました。難しそうに感じる生成AIやオープンデータも、身近な活動や企画づくりにどう結びつけられるかを分かりやすく学ぶことができました。



■ 前半:宿題の成果共有と生成AIとの上手な付き合い方


講座冒頭では、まちあるきなどの宿題の成果共有が行われました。

調べてきたことをベースに掘り下げを行うための生成AIの活用の仕方について、玉城さんから紹介。


「ふわっとした質問・指示では、ふわっとした答えしか返ってきません。」

玉城さんがそう語りながら紹介したのは、ChatGPTを効果的に活用するための6つのコツです。

指示を明確にする

立場を指定する(例:小学生、福祉士など)

出力条件を細かく設定する

箇条書きで複雑な質問を整理する

段階的に聞いていく

回答をセルフチェックさせて改善する


実際にAIに投げかけるデモンストレーションでは、「こんなに具体的な答えが返ってくるんだ!」と驚きの声が上がり、会場が盛り上がりました。



■ 後半:グループでの実践ワーク


続いてはグループに分かれ、AIを使った調査や課題整理に挑戦しました。

ペルソナ設定:「この課題に直面しているのはどんな人?」を生活や感情レベルまで描き出す

関係者分析:家族や学校、行政、地域団体など、課題に関わる人々を洗い出す

構造把握:原因や背景を時間軸や学問的視点から整理する

既存事例調査:すでに行われている施策や活動を調べる


「ただのアイデアが、AIを使うことでぐっと現実味を帯びてきた」との声も聞かれ、チームごとに課題の解像度が高まっていく様子が印象的でした。


■ オープンデータと新しいツール


那覇市が公開しているオープンデータの活用例や、Googleの「NotebookLM」という新しいツールも紹介されました。膨大な行政資料の中から必要な情報を的確に引き出せる機能に、参加者からは「これなら地域の企画にすぐ使えそう!」と前向きな声があがりました。



■ まとめとこれから


今回の学びで強調されたのは、「AIやデータは便利だけれど、鵜呑みにしないこと」。最終的には現場での調査や住民の声を通じて検証し、地域の実情に合った企画へと育てていくことが大切です。


講座の最後には、玉城さんから「AIはあくまで道具。皆さん自身の問いや視点があってこそ、良い答えが引き出せる」とのメッセージもいただきました。


次回は92日(火)の相談会を経て、916日(火)からはいよいよ企画づくりが本格的にスタートします。AIやデータ、そして現場の声をどう組み合わせ、どんなプランが生まれるのか楽しみです。

2025年8月12日火曜日

【レポート】第2回講座|「地域を知ろう!!地域調査と分析・課題設定」

2025年7月29日(火)18:30〜21:00

会場:なは市民協働プラザ2F なは市民活動支援センター 会議室①

参加者:受講生28名、チアーズ



 講座冒頭:再会と新しい仲間との出会い


第1回以来の再会となるこの日、今回から初参加の6名が自己紹介。それぞれの地域や活動への想いが語られ、拍手と笑顔で歓迎されました。那覇市に関わる多様な経歴や視点が加わり、チームに厚みが増しました。



 事務局・宮城による導入:「現状・問題・課題」の整理


事務局からは、企画づくりの出発点として必須の3つのキーワードと定義が提示されました。


現状(現象)・問題・課題の違い

現状…現在の状態のこと、起こっていること・現象

問題…ビジョンと現状とのギャップ。何が困るのか?

課題…ギャップを解消するために取り組むべきこと



「少子高齢化」を例に、現状の事実と、その背後にある理想とのギャップをどう見極めるかを解説。宮城は「現状認識の精度がルート選びを左右します」と強調し、現状・問題・課題を意識することで行動の方向性がぶれにくくなると伝えました。



 講義① 稲垣暁さん:「地域について知ろう‼︎」

「気になる」から「課題設定」へ 〜地域にどう耳を傾けるか〜


社会福祉士・メディアコメンテーターの稲垣暁さんは、曙地区の交通環境を題材に「高齢ドライバーの社会的リスク」という課題が導き出されるまでのプロセスを紹介しました。


ここでのゴールは、地域情報のインプットではなく、

「気づき」を「問題意識」「課題提起」に高める

動機となった情報を整理する

関わるべき主体(サブジェクト)を絞る

地域にどうアクセスし、どう波長を合わせるかを考える


さらに、「見立て」には予備調査(証明材料)が必要であることを解説。数値データ、学術的根拠、行政や交通事業者への取材、専門職や住民への聞き取り、非言語的な観察まで、多角的な視点での検証の重要性を強調しました。


稲垣さんは「課題は、自分の関心だけでなく、その地域の誰にとっての課題なのかを明確にすることが大切」と語りました。


 講義② 宮道喜一さん:チームでテーマ設定


後半は宮道喜一さんの進行でグループワーク。各チームが次の項目を整理しました。

  エリア(小学校区)

取り組みたいテーマ

地域の課題の設定(仮説)

テーマ・課題を設定した理由

テーマ・課題を深めるために得たい情報


次回(第3回講座)までに調べることや担当の確認



 各チームの発表内容

1. 中心市街地チーム:地域のコミュニケーション不足

2. 真和志チーム:交通渋滞と子ども・高齢者の安全

3. 大道(真和志)チーム:子どもの安全と夜間環境

4. 小禄チーム:地域内交流の希薄化

5. 首里末吉チーム:高齢者の居場所づくり

6. 新都心チーム:防災をきっかけとしたつながり

7.(首里)チーム3/4:子どもの貧困と不登校



 全チームの発表後の講師からの総評


稲垣さんは、今年は例年と傾向が異なり「交流」と「子ども」に関するテーマが多かったと分析。そのうえで「皆さんが挙げたものは、本当に課題なのか? そして誰にとっての課題なのか?」という問いを重ねました。特に、当事者が「困っていない」場合へのアプローチの重要性を指摘し、「困り感のない層への働きかけも課題の一部」と強調しました。


宮道さんは3点を提案。

1. 「誰が困っているのか」を深める:後の活動で必ず問われるため、明確化が必要。

2. マジックワードの具体化:「つながり」「活性化」など賛同を得やすい言葉(マジックワード)こそ、人によって解釈が異なるため具体化する。

3. 既存の活動の発見、把握と引き取り:既に地域で取り組んでいる人や組織を見つけ、その活動を引き継ぐ・連携することで課題に近づける。



 お知らせ&次回予告

東京大学主催「COGチャレンジオープンガバナンス」参加案内

宿題:まち歩きやヒアリングの実施と記録共有

次回(8月19日):玉城陽平さんによる「オープンデータと生成AIを地域づくりに活かすコツ」



 まとめ


2回講座は、「気になること」を検証可能な課題に変えるための思考法と地域調査の手法を学び、各チームの方向性を固める時間となりました。「誰のための課題なのか?」という問いかけは、多くの受講生に深く響きました。回を重ねるごとに深まるチームワークにも目を見張るものがあり、宿題のまちあるきで更なるチームビルディングにも期待!次回はデジタル技術を活用して課題解決の道筋をさらに具体化していきます!